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アルゴン

元素記号:Ar 英語名:Argon

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

18

39.948

-189.37

-185.86

1.01x105

 アルゴンの大気中での濃度は約1%です。アルゴンは、窒素、酸素に次いで3番目に多く大気中に存在する元素です。新しい元素として確認されたのは1894年でした。
 アルゴンは他の元素と化合物を造らない不活性ガスと呼ばれている元素群のひとつです。元素名もギリシャ語の argos (不活性)にちなんでいます。不活性の性質は様々なものに利用されています。例えば、電球のフィラメントが燃えるのを防ぐために、アルゴンが封入されています。
 アルゴン原子には18個の陽子が含まれています。中性子の数が18個のアルゴン36の他に、中性子の数が22個のアルゴン40が存在しますが、アルゴン40の大部分はカリウムの一部が変化したものです。カリウムの一部が壊変する法則は一定です。この性質を利用して、岩石の年代を求めることができます(カリウム・アルゴン年代法)(参照:カリウム)。また、代表的なマントル起源の岩石である中央海嶺玄武岩に含まれているアルゴン40とアルゴン36の存在比(40Ar/36Ar)から、地球大気の起源に関する重要な情報が得られています(下のコラム参照)。

中央海嶺玄武岩

画像提供:海洋研究開発機構

コラム「地球大気の起源」
 アルゴンには化学的な反応性がないので、大気中に存在するアルゴンは大気中に安定に存在し続けます。また、大部分のアルゴン40はカリウムの一部が変化したものです。この2つの性質を利用すると、地球大気の起源を推測することが出来ます。
 大気及び地球内部に存在するアルゴン36は地球誕生から存在するものだけで構成されています。一方、アルゴン40は地球の歴史と共に増加しています。誕生直後の地球におけるアルゴン40の存在は無視できるほどでしたが、現在の大気中にはアルゴン36の約300倍のアルゴン40が存在しています。中央海嶺玄武岩の分析値より、現在の地球の内部にはアルゴン36の50000倍以上のアルゴン40が存在していることが判明しました。これらの情報をもとに、大気中のアルゴンと地球内部のアルゴンについて考えてみましょう。
 まず、大気中のアルゴンです。アルゴン40を生成するカリウムは地球の内部に存在するので(大気中に存在しないので)、大気中のアルゴン40は地球の内部から供給されます。アルゴン40が供給されるということは、同じ元素である(地球内部に存在する)アルゴン36も大気に供給されることになります。大気中のアルゴン36は、地球誕生時から大気中に存在したものと、地球内部から放出されたものが混ざっていることになります。
 次に、地球内部のアルゴンです。アルゴン36は大気中へ放出されたので、地球内部ではアルゴン36は減少し続けています。アルゴン40はカリウムからの生成によって増加しつつ、大気中へ放出されて減少しています。アルゴン40の存在量がどのように変化しているかは複雑ですが、アルゴン36に対するアルゴン40の存在比は、時間と共に大きくなっています(0から50000へ増加)。
 以上の情報のほか、現在の大気中のアルゴンの量、岩石から推定される地球内部のカリウムの量、カリウムの一部がアルゴン40へ変化する法則をもとに、計算すると、大気中のアルゴンの経歴を見積もることが出来ます。それによると、現在の大気中に存在するアルゴン36のほとんど(90%以上)が、地球誕生の直後(1億年以内)に、地球内部から放出されたことになります。つまり、地球が誕生した頃に猛烈な勢いで、アルゴン36は大気中へ放出されたことになります。このとき、アルゴン40はほとんど存在していませんでした。カリウムの一部から変化したアルゴン40が地球内部に存在するようになってから、少しずつ継続的に、大気中のアルゴン40は増えていったことになります。
 アルゴンは化学的な反応性がない気体元素です。よって、大気中のアルゴンの経歴より、地球の大気の起源(地球内部からの放出)についての重要な情報を得ることが出来ます。地球の大気の大部分は地球が誕生した頃に短時間で地球内部から放出され、その後も少しずつ放出され続けていることになります。

隣接元素
ネオン
塩素 アルゴン カリウム
クリプトン

  

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