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元素記号:Ag 英語名:Silver

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

47

107.8682

961.93

2212

0.486

 は銀色の金属元素です。地殻には0.07 ppm (0.000007%)程度、存在します。銀が銀色に見えるのは、光の反射率がとても大きいからです。銀は金に次いで延びやすい金属で、1gあれば1800mものワイヤーを作ることができます。人類は紀元前3000年頃から銀を利用していました。元素記号Agは、ラテン語のargentum(輝く、明るいの意)に因んでいます。英語名Silverは、アングロサクソンの古代語siolfulに由来します。ドイツ語ではSilberですが、フランス語ではArgentと言います。漢字「銀」の「艮」は変わらないという意味で、「銀」とは錆びない金属を意味します。実際、銀は酸素とは反応しにくい(イオウとは反応して黒くなります)金属です。
 自然銀も存在しますが、存在量は多くありません。銀は輝銀鉱(Ag2S)から生成されているほか、銅や亜鉛などを精製する際の副産物として、採取されています。純粋な銀は軟らかいので、強度が必要な場合には合金にして利用されています。銀は電気と熱を最もよく伝える金属で、コンピューター内の電気接点に使用されるなど、エレクトロニクス産業で重宝されています。銀には強い抗菌作用があり、銀は古くから水の腐敗防止に利用されていました。臭化銀(AgBr)は光に当たると、銀に分解されます。この反応を利用したのが写真です。フイルムには臭化銀が塗られており、現像液に溶け出す臭化銀と、溶けない銀によって、濃淡が発生し、ネガフィルムが出来上がります。

自然銀(樹状銀)

自然銀(ヒゲ銀)

樹状銀

ヒゲ銀

Pohla,Sachsen,Germany

Agaf Kasachstan

輝銀鉱(黒色部)
銀黒
新潟県 佐渡郡 相川町 佐渡金山

コラム「昔は金よりも価値があった銀」
 現在は金の方が銀よりも高価です。金メダルは銀メダルに金メッキを施したものです。昔から、そうなのでしょうか。意外なことに、金と銀の価値関係は現在の逆でした。金と銀の価値の変化を紹介しましょう。
 古代エジプト文明では、銀の方が金よりも高価で、2.5倍の価値があったそうです。金製品に銀をメッキすることもあったとか。中世のヨーロッパでも、銀の方が高価でした。銀の方が高価だった原因は、金には砂金が存在し、自然金が採れましたが、砂銀は存在せず、自然銀の量もわずかでした。精錬するのも銀の方が困難です。これらの理由で、銀の方が高価でした。その後、新大陸から銀が大量に持ち込まれ、銀の価値は暴落しました。アメリカ大陸では銀が多く採れます。メキシコが最大の銀の産出国です。

コラム「お金をあつかうのに、なぜ銀行?」
 銀行はお金を取り扱うところですが、なぜ、金行と呼ばれないのでしょうか。その由来をお話しましょう。
 唐時代の中国に、銀製品を販売する店が出現し、金行(金製品を販売する商人)に対して、銀行と呼ばれていました。その後、精製技術の進歩により、銀の産出量が金よりも多くなると、貨幣の主流は金貨から銀貨へ変化しました。さらに、貨幣の使用が増えると、大量の貨幣が必要になり、ますます銀貨の方が普及しました。そのため、銀行は経済の中心となる金融機関へと成長しました。産出量が原因で銀は金よりも安価になりましたが、貨幣としては金よりも普及し、銀貨は経済の中心になりました。銀行という呼び名は、その証です。

隣接元素
パラジウム カドミウム

  

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