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ガドリニウム

元素記号:Gd 英語名:Gadolinium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

64

157.25

1313

3266

0.3300

 ガドリニウムは銀白色の柔らかい金属です。地殻には7.7 ppm (0.00077%) ほど存在しています。サマリウムが発見されたことを知ったスイスのマリニャックは追試(実験の信憑性を確かめるための再現実験)を行い、1880年、別の新しい元素が存在することに気が付きました。この新しい元素は、1886年、サマリウムの発見者ボアボードランによって、未知の元素であることが確認されました。元素名ガドリニウムは、希土類元素を最初に発見したガドリンの功績をたたえて、ボアボードランが命名しました。
 ガドリニウムの主な鉱石はバストネス石です。ガドリニウムは健康診断おいて重要な役割を担っている元素です。X線撮影で使用されるフィルムには、感度を上げるために(X線の照射量を減らして、人体への悪影響を押さえるために)、ガドリニウムが利用されています。MRIによって体内の断層写真を撮影する時には、ガドリニウムの化合物を体内に注入します。ガドリニウムの働きにより写真の濃淡が明確になり、正確な診断が可能になるからです。その他の重要な利用例として、磁気冷凍機が挙げられます。ガドリニウム-ガリウム-ガーネット(Gd3Ga5O12)に電磁石で磁力を働かせておいた後、電磁石の電源を切ります。すると、ガドリニウム-ガリウム-ガーネットは周りから熱を奪います(周りを冷やします)。この特性を利用したのが、磁気冷凍機です。気体の圧縮膨張を利用した通常の冷凍機の場合、小型化によって性能が著しく低下します。しかし、磁気冷凍機は小型化しても、性能は落ちません。優れた小型の冷却器です。

(Ce,La)(CO3)F
バストネス石
バストネス石
Mountain Pass, San Bernardino Co., California, U.S.A.

コラム「軽希土と重希土」
 希土類元素は1つのグループとして取り扱われることが多いのですが、ランタンからユウロピウムまでの7元素は軽希土と、ガドリニウムからルテチウムまでの8元素は重希土と呼ばれることがあります。化学的な性質がよく似た希土類元素も、軽希土と重希土では、化学的な性質が少し異なっています。両者の違いは、鉱石となる鉱物の違いで観ることが出来ます。下表に、鉱石となる鉱物(バストネス石とゼノタイム)に、どの程度の希土類元素が含まれているかを掲載しています。これによると、バストネス石には軽希土が多いが、重希土は少なくなっています。これに対し、ゼノタイムには重希土が多く、軽希土が少なくなっています。ガドリニウムはゼノタイムの方に高濃度で含まれていますが、精製が楽なバストネス石の方が利用されています。

バストネス石とゼノタイムに含まれている希土類元素の濃度(%)

原子番号

元素名

バストネス石

ゼノタイム

57
 ランタン

23

0.3

58
 セリウム

35

2.7

59
 プラセオジム

3.4

0.4

60
 ネオジム

9.8

0.4

61
 プロメチウム

-

-

62
 サマリウム

0.4

1.0

63
 ユウロピウム

0.1

0.1

64
 ガドリニウム

0.4

2.2

65
 テルビウム

0.3
(テルビウムから
ルテチウムまでの合計)

0.5

66
 ジスプロシウム

4.7

67
 ホルミウム

1.1

68
 エルビウム

1.1

69
 ツリウム

0.5

70
 イッテルビウム

3.3

71
 ルテチウム

0.2

隣接元素
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ユウロピウム ガドリニウム テルビウム
キュリウム

  

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