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サマリウム

元素記号:Sm 英語名:Samarium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

62

150.36

1077

1791

0.2582

 サマリウムは銀白色の柔らかい金属です。地殻には7.9 ppm (0.00079%) ほど存在しています。フランスの化学者ボアボードランはサマルスキー石を研究し、1879年、ジジミウム(参照:プラセオジム)に未知の元素が含まれていることを発見しました。元素名はサマルスキー石(ロシアの鉱山技師サマルスキーが発見した鉱物)に因んでいます。
 サマリウムの主な鉱石はバストネス石モナズ石(CePO4)です。サマリウムは磁石の原料として使用されています。サマリウム系磁石はネオジム磁石が開発されるまでは最強の磁石でした(コラム参照)。ネオジム磁石は鉄を含んでいるために錆びやすく、熱にも弱いことから、現在でも、サマリウム系磁石は高温で使用できる強力な磁石として、重宝されています。サマリウムの同位体のうち、サマリウム147(陽子:62個、中性子:85個)は、時間の経過と共に、α線を放出しながら、ネオジム143(陽子:60個、中性子:83個)へと変化します。この性質を利用して、岩石などの年代を求めることができます(サマリウム-ネオジム法)。ただし、サマリウム147が変化するペースが遅い(1060億年で半減)ため、測定できるのは古い岩石類に限られています。

(Ce,La)(CO3)F
バストネス石
バストネス石
Mountain Pass, San Bernardino Co., California, U.S.A.

コラム「希土類磁石」
 磁石と強く反応する元素(鉄とコバルトとニッケル)には、原子内部における電子の分布に、不規則な部分が存在します。希土類元素にも、同様に、不規則なところがあり、磁石と少し反応します。この性質が希土類磁石で利用されています。
 磁石の原料として利用されている希土類元素はサマリウム(Sm)とネオジム(Nd)です。コバルト(Co)や鉄(Fe)と混ぜた合金として利用されています。合金内では、コバルトや鉄の持つ力と、サマリウムやネオジムが持つ力が、相互作用で強め合っています。主な希土類磁石を下表に掲載しました。磁石の強さの目安として、通常の磁石(フェライト磁石)とのパワーの比較も載せています。
 まず、最初に開発されたのがSmCo5磁石です。次に、Sm2Co17磁石が開発されました。サマリウムは高価なため、サマリウム系磁石は時計などの小さい製品で主に使用されています。錆びにくく、高温に強い磁石です。次に登場したのがネオジム磁石Nd2Fe14B磁石)で、ネオジムと鉄の他にホウ素(B)を含んだ磁石です。ホウ素はネオジム原子と鉄原子の距離を調節し、両原子の相互作用を最大にするために、混ぜられています。製品化されたものでは最強の磁石ですが、鉄を含んでいるため、錆びやすく、熱に弱い磁石です。さらに、強力なSm2Fe17N2.3磁石も開発されていますが、まだ、研究段階です。

希土類磁石の組成とパワーの比較

名前

組成

パワー比(*)

フェライト磁石

BaO・6Fe2O3 又は SrO・6Fe2O3

1

サマリウム系磁石

SmCo5

5

サマリウム系磁石

Sm2Co17

8

ネオジム磁石

Nd2Fe14B

10

サマリウム系磁石

Sm2Fe17N2.3

20

(*) パワー比:同じ体積による吸引力の比。フェライト磁石を1とする。

隣接元素
ーーー
プロメチウム サマリウム ユウロピウム
プルトニウム

  

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