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パラジウム

元素記号:Pd 英語名:Palladium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

46

106.42

1552

3140

1.39

 パラジウムは柔らかい銀白色の金属で、耐食性に優れた白金族元素のひとつです。地殻には平均で 0.0006 ppm (0.00000006%)しか含まれていません。1803年、イギリスのウオラストンによって、ブラジル産の白金鉱石からパラジウムは発見されました(コラム参照)。元素名は、前年に発見された小惑星パラス(Pallas)に因んでいます。
 亜鉛やニッケル、そして金・銀・銅を精製する際の副産物として、パラジウムは回収されています。パラジウムは柔らかさと耐食性を兼ね備えた金属です。毒性も弱いので、歯の治療用合金(通称:金パラ、正式名:金銀パラジウム合金)に使用されています。ピアスや指輪などのように肌に触れるアクセサリーにも使用されており、白金よりもアレルギーの発生が少ない金属です。また、パラジウムには、水素化物(PdH3 または PdH0.75)として、自分の体積の約900倍の水素を吸蔵する性質があり、水素の精製に使われています。

自然白金

コラム「一石二元素」
 「一石二鳥」とは、一つのことをして、同時に2つの利益を得るという意味の諺(ことわざ)です。パラジウムを発見したウオラストンは、同じ白金鉱石(自然白金と思われる)から、ロジウムも見つけだしました。つまり、1つの石から2つの新元素を発見したのです。その様子を紹介しましょう。
 ウオラストンは白金鉱石を王水で溶かし、できた溶液にシアン化水銀をゆっくりと加えました。すると、溶液の底に黄色い物質が出現しました(沈殿しました)。黄色い物質の正体はシアン化パラジウムです。これを取り出し、加熱して、パラジウムが得られました。シアン化パラジウム(黄色い物質)を取り除いた溶液は、バラのような紅色を呈していました。発色の原因は未知の元素の化合物である塩化ロジウムナトリウムでした。
 パラジウムとロジウムは白金族元素と呼ばれる元素のグループに分類される元素です。白金族元素は化学的な性質が似ており、共存していることが多い元素グループです。白金族元素の性質と、沈殿物と残った溶液の両方に注目したウオラストンの探求心の強さによって、一石二元素の偉業は達成されました。

隣接元素
ニッケル
ロジウム パラジウム
白金

  

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