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ニオブ

元素記号:Nb 英語名:Niobium

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

41

92.90638

2468

4742

0.698

 ニオブは銀色の柔らかい金属です。地殻には平均で20ppm(0.002%)ほど存在します。ニオブ発見の歴史は複雑です(コラム参照)。1801年、英国のハチェットによって発見されましたが、元素のひとつと認められたのは45年後でした。元素名が定まるには更に100年以上の歳月が必要でした。
 ニオブの80%以上はブラジルのミナス・ジェライス州にあるアラシャ鉱山で産出されています。ニオブはパイロクロア{(Ca,Na)2(Nb,Ta)2O6(OH,F)}という鉱物の主要元素です。アラシャ鉱山はカーボナタイトが風化して形成された漂砂鉱床で、高濃度(5%以上)のニオブが含まれています。
 ニオブを混ぜた鋼材は、耐熱性に優れ、衝撃にも強いので、スペースシャトルや石油のパイプラインなどに使用されています。ニオブは超伝導材としても優れており、リニアモーターカーを浮かせるための電気磁石のコイルには、ニオブ・チタン線が利用されています。ガラスにニオブを混ぜると屈折率が大きくなるので、ニオブ入りガラスを使用することによって、眼鏡やカメラのレンズを薄くすることができます。

カーボナタイトが風化した漂砂鉱床

(Ca,Na)2(Nb,Ta)2O6(OH,F)

アラシャ鉱山

パイロクロア

Minas Gerais, Brazil

Tatarka, Russia

(Fe,Mn)(Nb,Ta)2O6 (Fe,Mn)(Ta,Nb)2O6
コルンブ石 タンタル石
コルンブ石 タンタル石
Paraiso mine, San Ramon,
Santa Cruz, Bolivia
中国 新疆ウイグル自治区
富蘊県 アルタイ山脈

コラム「ニオブ発見の歴史」
 18世紀の初頭、米国のウィンスロップはニューイングランドの鉄鉱山から新種の鉱物を発見し、コルンブ石{(Fe,Mn)(Nb,Ta)2O6}と名付けました。1734年、コルンブ石は大英博物館へ送られましたが、しばらく標本室に放置されていました。1801年、鉱物標本の点検をしていたハチェットによってコルンブ石が分析され、未知の元素(ニオブ)の酸化物が含まれていることが判明しました。元素名は鉱物名に因んで、コロンビウム(元素記号はCb)と命名されました。
 これで終われば話は簡単でしたが、1802年に化学的な性質がよく似た新元素タンタル(Ta)が発見され、コロンビウム(ニオブ)とタンタルは同じ元素であると考えられるようになりました。1809年、コルンブ石とタンタル石{(Fe,Mn)(Ta,Nb)2O6}を分析したウォラストンは、コロンビウムとタンタルは同じ元素であると発表し、コロンビウムは廃名となりました。
 1846年、ドイツのローゼはコルンブ石とタンタル石を分析し、タンタルとは別の元素の酸化物を確認しました。未知の元素と考えて、ギリシャ神話に登場するタンタロス王の娘ニオベ(Niobe)に因んで、ニオブと名付けました。その後の研究で、ニオブとコロンビウムが同じ元素であることが1865年に確定しました。米国と英国では第一発見者に敬意を払ってコロンビウムが使用されていましたが、1949年にニオブで統一されました。
 ニオブの発見の経緯が混沌としている原因は、タンタルと化学的な性質が似ていることです。天然の鉱物中でも、両者は混在しています。しかしながら、アラシャ鉱山で採れるパイロクロアーにはタンタルがほとんど含まれていません。それ故、非常に優れたニオブの鉱山になっています。

隣接元素
バナジウム
ジルコニウム ニオブ モリブデン
タンタル

  

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