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モリブデン

元素記号:Mo 英語名:Molybdenum

原子番号

原子量

融点(℃)

沸点(℃)

宇宙存在度

42

95.94

2617

4612

2.55

 モリブデンは銀白色の硬い金属です。地殻には平均で1.5ppm(0.00015%)ほど存在します。1778年、スウェーデンのシェーレは、輝水鉛鉱(MoS2)から未知の元素の酸化物(MoO2)を発見しました。当時の輝水鉛鉱の呼び名であったモリブデナ(Molybdaina)(コラム参照)に因んで、モリブデンと名付けられました。
 モリブデンの鉱石は輝水鉛鉱です。50%以上が米国コロラド州のクライマックス鉱山で産出されています。モリブデンを鋼に加えると、高温での強度が増します。この情報は、第一次世界大戦中、ドイツ陸軍の軍事機密でした。ドイツ陸軍は大砲の砲身にモリブデン鋼を使い、移動可能な巨大大砲ビック・ベルタを開発しました。現在、モリブデンの90%以上が、クロムやニッケルと共にステンレス鋼の生産に消費されています。モリブデンにはイオウと結合しやすい性質があり、石油からイオウを取り除くのに使用されています。モリブデン酸オレンジ(PbMoO4)は熱に強いオレンジ色の顔料として、利用されています。

MoS2 PbMoO4
輝水鉛鉱 モリブデン鉛鉱
岐阜県 大野郡 白川村 平瀬鉱山 San Francisco Mine, Sonora, Mexico

コラム「鉛とモリブデンの名前の関係」
 モリブデンはギリシャ語の鉛(molybdos)に由来し、モリブデナは方鉛鉱(PbS)の呼び名でした。その後、石墨や輝水鉛鉱もモリブデナと呼ばれるようになり、灰色の鉱石の総称として、モリブデナは使われるようになりました。更にその後、モリブデナのひとつ輝水鉛鉱から新元素が発見され、モリブデンと名付けられました。つまり、鉛を意味していた言葉が、別の元素であるモリブデンの名前に変わったわけです。
 鉛とモリブデンの名前の関係を示す別の話を紹介しましょう。以前、日本ではモリブデンのことを水鉛と呼んでいました。この呼び名はドイツ語Wasserblei(水の鉛)に由来します。亜鉛という元素名は使用されていますが、水鉛という元素名はほとんど使われなくなりました。輝水鉛鉱という鉱物名は数少ない使用例です。

PbS

方鉛鉱
Kansas, U.S.A.

隣接元素
クロム
ニオブ モリブデン テクネチウム
タングステン

  

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